21.06.07-18

 疲れてふて寝を続けていたことしか覚えていない。観たいもの読みたいものやりたいことが多く溜まっていて可能な限りそれらはやるけれどやったらやったでその証跡を何かしら残さなければならないという強迫観念がありその日起きたことなんて覚えていられない。頭の中をまとめるのが苦手でたとえば映画を観てもそれがまとまって他のものとつながって自分のなかで何らかの意味を持ち始めるようになるまで少なくとも一週間は待っている。そうしたなかで言わなければならないのに言えていないことがどんどん溜まっていく。それらが詰まりを起こして何も言えなくなったのがこの二週間だった。言わなければならないことがあるかのように思わされているけれどそんなものはなくていつも誰かが何か言っているのが身体に入ってきてそれに押し出されて排便するみたいな切迫感を感じながら半ば言わされているだけだ。気の合うひとと面と向かって話をしているときは互いにわたしなんか中空に投げ出してその中空に言葉を差し出して戯れ合っているみたいにものを言うことができるのにSNSだとどうしてこうなるのだろう。常に限界人間量を超えている。それをはやく観たり聴いたりしなければならないような気にさせられている。上映がはじまった映画や漫画はできるだけ早いうちに観て読んでできるだけ早いうちに気の利いた感想をツイートして一年の終わりにはランクをつけなければならないみたいなのにはついていけないしそういう雑誌編集者に任せておけばいいような汚れ仕事をなんでわざわざやろうとするのか訳がわからないと思っているのにエヴァの映画にいまさら数量限定で新しく追加ストーリーの特典冊子がつくという。この産業のこういうところがオタクを厄介にしたのだと思う。