22.06.03

コインランドリーに向かういつもの道の途中にある家が取り壊されてめちゃめちゃになっていた。建物の取り壊しはいつも昼に行われて、夜にはそれが昼の終わりとともに中断されたまま、重機もさっきまで動いていたような格好で静止しているのでどきっとしてしまう。破壊の現場が、その豪快さや野放図をこちらに見せたくてこちらが現れるのをずっと待っていたかのように、それをつまびらかに露わにするために丁寧にストップモーションしているような様子。それがあまりに急なのでそこに何があったのかもう思い出せない。月曜日に洗濯物を乾かしに行くときにすれ違ったのが最後らしい。見知ったものはすべてこちらの了解なく壊れて無くなる。それが目の前から消えることに対して間に合うことはない。一方で魂の一部が勝手に色々なところに預けられているのか、すれ違う程度のものでもそれが無くなった際には何かが欠損した感じがする。その魂の空き領域をどうにかするために、何か置き土産と見做せるようなものを勝手に見つけて不在の主の依代にする。